瞬きもせず

読みました。紡木たく著「瞬きもせず」。
名作ですねえ。うん。一昔前の少女漫画って雰囲気バンバンです。
でもストーリーしっかりしてるし、そうゆう一昔前の少女漫画独特のこっぱずかしさみたいなのはないです。不思議と。
紡木たくの表現が上手いのかね。
星の瞳のシルエットとかと同じ臭いがするけど瞬きもせずの方がPURE感があると言うか、心理描写が上手いと言うか・・・。
でも、今、こんな少女漫画書いても世間には受け入れられないんだろうなぁ。
こういう、「手をつなぐだけでドキドキして心臓が破裂しそう」みたいな女の子、もう少女漫画の中でしか生きれないですよ(笑)
そう考えると、昔はみんな純だったのかねぇ。
でも、そういうのって誰もがかつては持ってたものだし、結局こーゆーのの方が普遍なんですよね。
それとも、今、連載してる漫画でも将来「腐朽の名作」って言われるような作品、残るのでしょうか。
うーん。まとめて読むと濃くなるから感動もひとしおなんですかね。
しかし、この「瞬きもせず」何がスゴイかって三角関係はちょっとあっただけ、主な登場人物は4人、学校行事の描写もむっちゃ少ない。(今の学園モノなんて行事ごとに何か事件が起こったり、行事をこなすことがメインになってたりするのにね)
ほとんどかよちゃんと紺野くんの恋しか描かれていないのに話がきちんと進んで行くところがスゴイ。そして、最後2人は恋は手に入れるけど、2人とも大きな挫折を味わうトコロが現実味があってイイ。
それまでは「マンガの中の人=最終的には全て上手くまとまる」だと思ってたのに、こんな形で裏切られようとはゆめにも思ってなかったですよ。
この漫画では恋愛至上主義で、恋愛を勝ち取るためには少々の犠牲はやむをえない、ってスタンスがはっきりしてて潔いです。
正直今までは「どうせ最後は(どんなかたちであれ)幸せになるんでしょ?」って思いがあって読んでたけど今回はそうじゃなかったですよ。
BANANA FISHのアッシュでさえ、死ぬけど、幸福になれたし。
紺野くんとかよちゃんなんて恋は手に入れたけど煮え切らないところ多すぎ。でも、それがすごく親近感が沸いて良いのかもしれない。
それでも人生は続いて行くんだね、っていう感じがひしひしと伝わってきましたよ。



紡木たく著「瞬きもせず」。まだ読んでない人は一読の価値アリです。