良い夫婦の日

耳をすませば (スタジオジブリ絵コンテ全集 10)
今日、図書館で耳をすませば (スタジオジブリ絵コンテ全集 10)を借りて来ました。絵コンテを読むって不思議な感じではあったのだけど、すごく面白かった。横に書いてある宮崎駿さんのコメントが面白くて「ほぉ、このときの雫はこういう心情だったのか」と、アニメでまでは伝わりきらない(もしくは自分で勘違いしている)ところが明確になって、本当に面白かった。
エリザベートの小池先生の脚本小説読んだときみたいな感じ。
このシリーズ、学校に全部そろってるのに、ほとんど読んでる人がいないっぽくてもったいない。これから毎週一冊はこのシリーズ読んでいこうかな。ついでにジブリシリーズも毎週一本見ていこうかな。
でも、「耳をすませば」は私にとって、ジブリの中で一番好きと言っても過言ではない作品(「天空の城ラピュタ」も一番かも)。それだけに、ストーリーはもちろん、場面もほとんど頭に入ってるから面白いわけで、他の作品ではここまでの感動はないかも・・・。とか思ってしまったり。ま、ビデオ見ればすむことだけどね。
今日も、これを電車の中で読みながら帰ってたら、無性に映画が見たくなってTSUTAYAでDVD借りて帰りました。ビデオは2本とも貸し出し中だった。ハウル効果でジブリ作品見たくなる季節なのかな?
しかし、この「耳をすませば」って映画で見たらお尻がむずがゆくなるシーンがてんこもりだけど、印刷物にしちゃえばそうでもないんだよね。男の人が書いてるからなのか、少女漫画の世界に私が慣れすぎてるからなのかはわからないけど。ってことは読んでるだけで赤面しそうな少女漫画は映像化したらどうなるんだろう?とか少し思ってしまった。
このアニメって、ジブリの中では大人の評価がそれほど高くないですけど、わたしら世代には受けが良いはず。この作品をはじめて見たときに思春期だった人には。友達にもジブリの中でこの作品が一番すきって子多いし。
でも大人も思春期だった頃はあるはずだし、万人受けしても良いと思うんだけどな。大人になるとあの思春期のドキドキ感とかワクワク感とか忘れちゃうのかな?だから大人になった「かつて少女だった彼女達」は自分が昔、柊あおいの熱心な読者だったことを隠そうとするのかな?
(↑「ときめきトゥナイト」は良くても「星の瞳のシルエット」は言い出せないらしい。そこにどのような感情があるのかは今の私にはわからない)
そういうの、少し悲しいな、って思う。
耳をすませば」ではカントリーロードが主題歌として使われてて、はじめてこの映画を見た頃はその意味がわからなかったけど、あの多摩ニュータウンが雫にとっての「故郷」なんだよね。にぎやかな駅前、24時間光を放つコンビニ、箱のような団地、コンクリートで覆われた川、スモッグのかかったどんよりした空、そしてコンクリートロード。その他にも、畳の上のベッドとかさ、古びた感じのキッチンとか、すべてが懐かしい風景なわけだ。
確かに団地育ちのわたしの原風景ってあんなもんだと思う。トトロのような田舎の風景を私達は「キレイ」とは思いこそすれ、「懐かしい」とは思わない。
この部分に関するジェネレーションギャップはものすごく大きいかもしれない。もしかすると私達と同じ世代でも高級住宅街やド田舎に住んでる子には「耳をすませば」を見たところで懐かしいと思わないかもしれない。
郷愁を誘うアイテムがこんなにも人によって違う時代が来るとは・・・。
最後のシーン(聖司が雫を連れ出して朝日を見せるシーン)のスモッグのかかった朝日の宮崎駿のコメントがとても印象深かった。「どう感じるかは人によって違うだろうがしずくは感動している」とかなんとかそんな感じのことが書かれていた。
うむ。確かに。
突き抜けるような青空を心のアルバムにしまっておいでのご老人にはスモッグの空は汚すぎて感動できますまい。
光化学スモッグ注意報の黄色やオレンジの旗と育った私でも学校帰りの西(奈良の方から大阪に帰るので西が都会になる)の空を見て、あまりの汚さに萎えるときがありますから。
そんなわたしの郷愁アイテムは国道1号線を行き交う車のライトと淀川かな。
でも、そんな今と昔でも普遍的なアイテムもあるよね。冬のあのピンッと張った空気(特に下駄箱の前)。まだ風が吹くと少し肌寒い春の暖かい木漏れ日、植物が芽吹く瞬間の息吹、新緑のすがすがしさ。夏のけだるい暑さ、校庭に響くセミの泣き声、昼になってそれが急にいっせいに泣き止む瞬間のあの感じ。秋の夕陽、その夕陽に照らされて輝く校舎の美しさとか、自分の身長より長い影に気付く瞬間の嬉しい気持ち。
そういうのは中学生なんかの頃には普通に毎日感じてたものなのに、大人になるとワンシーズンでほんの数日しか感じなくなってしまうの。日ごろの忙しさに追われて季節感がなくなってしまう。繁華街に出るのも季節感がなくなる原因かっも。ほら、今だってもう世間はクリスマス一色だって言うのに、実はまだ木の葉は深い緑を身にまとっているし、女の子は最高気温ですら15度程度なのにコートを脱ぐとノースリーブだし。
わたしは出来れば大人になっても常に上記のようなこと感じていられるような人間でいたいな。